| 青山は、とあるマンションの地下に潜む、妖しく重厚感漂うチャイニーズ・レストランのラウンジ。アンティークのソファに腰を沈めたボスふたり。しかし、これといって改まった気配もなく、「“問屋の白袴”じゃないんだから、人のお世話ばっかりしてないで自分のこともちゃんとやってください(笑)」と、冷やかし口調でHP開設を祝う中島さんに、「ックックック」と照れ笑いする仲佐さん。いつもの感じでゆるりと会話が始まった。では、ふたりの関係について、少し。
中島 「僕は福生をベースに物販や飲食店を展開していて、自分たちでガンガン壁を抜いたりペンキを塗ったり、といった手作り感覚の店をつくっていた。そして初めて都心に出店したのが今から十数年前。その後続けてレストランを出店しているうちに『商店建築』という媒体を知ったの。スタイリッシュなデザインのレストランがズラリと紹介されている雑誌で、僕とはまったく関係のない世界だと思っていたけれど、そのうち僕も一回ぐらい出てみたいと思うようになったわけ(笑)。しかもこれを撮っている男が“仲佐さん”というカメラマンだと知って、この人にも会ってみたいと。どうしたらこの人に写真を撮ってもらえるのだろうか? とか考えていたりしたら、誰かがいうの「あの人、いい店しか撮らないんだよね」って。本当かよぉ。いい店しか撮らないなんて、それはまいったなぁ、と思ったよね(笑)。その後何年か経って、丸の内に「胡同マンダリン」をつくった際、これは素敵な空間だと自負する店だったので、いよいよ撮影を依頼した。これが最初です」
仲佐 「こちらはその頃『商店建築』のエディターの角田さん(現『I’m home』編集長)に「仲佐さん、会ったらハマりますよ」って言われてた(笑)。その前にテレビで、自分で壁をぶち抜いたりして機関銃のようにダダダーッ!と店をつくっている中島さんの姿を見て、たぶん苦手だろうな……と。それが実際に会って何時間も経たないうちに、この人の為に何かやりたいなぁ、と思うようになっていた。要は、ハマったわけです」
中島 「一見、単なる品のないおやじがダダーッと荒削りに店をつくっているように見えると思うけど。実は意外と育ちがよくて、シャイな男なんです。根本的に、素敵なもの美しいものを常に求めるのは幼少の頃から。大人になって世界を廻った時期があって、美しいもの、それを人間が息づいている場所の中に感じるようになった。路地裏だったり、ストリートガールがいる街のような、人間臭い所にね。それが自分の中に染み込んで、アクの部分の価値観になった。店を作るときに、その強いアクの部分がどうしても出て来るんですね。仲佐さんと出会って、写真を撮ってもらって、そうしている間も僕はどんどん変化してきた。でも、これからの変化は少し大きなものになるんじゃないか、と感じています」
中島武に大きな変化……!? 気になる発言。中国の食文化、パンチある際の味を日本に浸透させた後、ここ数年は、和服の女将のいる粋で洒落の効いた和食店を展開してきた中島さん。なにを見据え、今度はなにを企んでいるのか。どうにも目が離せない存在、その引き出しの多さに仲佐さんは「ハマった」わけである。
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